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六作目 結城龍馬

第1章 本編


高く上げたボールに視線を合わせた。

「今だ!」

ラケットに溺れるボールの感覚の次には、
聞き慣れた軽快な音と共に、軌道に乗ったボールが、
コートを貫く。

「サービスエースだ!」

実況者の声と共に、試合終了のアイズが聞こえた。

「龍馬くん、これが、テニスの試合なんだね」

ふんわりと、包み込むような声に、
感じていた疲れの存在も消えていった。

「あぁ、そうだぜ、咲希、
だが、本物のテニスは、もっと高い次元で行われるんだ」

「高い次元?」

「なんかすごいね!龍馬くん!
でも、なんで、テニスしないの?
あんなに、上手なのに?」

「過去の栄光を捨てたのさ、後ろを見たくないんだ、
今は、前を向いて、歩きたいんだ」

「なんか、カッコいい!」

「へぇ~そうなんだね!
じゃあ、これからも、アタシに、
テニス教えてくれないかな?」

「咲希の頼みならば、いくらでも、教えてやるさ
まぁ、実際やるのは、咲希自身だからな」

後日、テニスコートにて、
結城龍馬にしごかれながらも、天馬咲希は、
テニスの練習に励んでいた。

「でも、なんで、ソフトテニスなんて、始めたんだ?」

「えっ?なんか、青春っぽいじゃん!」

「おいおい、それだけかよ…」

すると、穂波がやって来て…

「あっ、咲希ちゃん!龍馬くん!」

「あっ、ほなちゃん!」

「穂波か、どうした?」

「お弁当作って来たんだ、よかったら、食べない?」

「おっ、すまねーな、じゃあ、休憩にはいるか」

「はーい!」

穂波は龍馬にお弁当を食べさせようとしていた

「龍馬くーん!はい、あーん!」

「おいおい、よせよ…」

「婚約者なのに…」

「じゃあ、アタシからも、あーん!」

「咲希まで…」

龍馬は異常なまでに、モテモテハーレム状態だった。


「そう言えば、龍馬くんは、硬式テニスやっていたみたいだけど、
ソフトテニスもできるの?」

「まぁ、多少はな、飲み込みが早いだけだ」

「へぇ~龍馬くんって、何でも、出来るんだね」

「球技以外は、出来ねーんだよ、俺は」

「ふふっ、龍馬くんったら、
昔から、球技の才能があったんだよ?」

「アタシもよく見たら、いたんだった!」

「今更、気づくのかよ…やれやれだな」

穂波と咲希は、龍馬にお弁当を食べさせるのだった…
龍馬自身は、嫌がっているが…
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