第8章 守護霊の正体
白蛇さんは顔を引っ込めて姿勢を正した。
「守護霊というのは、端的に言うと運のないものに憑くのだが、元々運の高い者やワシがMENに憑いていたような人間には、そんなに沢山憑いたりしないのだ」
「そうなんですね……?」
私はそう返事しながら考えた。それは、おらふくんと同じような感じなのだろうか。ペットが守護霊のような役割を果たすことから、力の弱い子どもの守護霊がよく憑くような。
「だがオヌシには様々な霊害に遭っているにも関わらず、一向に守護霊が来ないのも不思議な話だ」
「そんな、守護霊来る来ないってまるで会社の派遣みたいな……」
「そう、ワシらは大抵派遣されておるのじゃ」
ワシは自らMENの守護霊になった訳だがの、と白蛇さんは付け足して。
「だったら……」
と私が言いかけて、目の前にいた白蛇さんがぱっと消えた。まさかこんな話の途中でMENさんの元に戻ったのだろうかと思いきや、そこには白い蛇の姿をした彼がいて、喋り過ぎて少し疲れた、とソファの上で体を丸めた。
「あの〜、白蛇さん……?」
と声を掛けるも、どうやらすやすや眠っているようで返事がない。私は息をついた。
「色々あってなんか疲れちゃったな……」
それから私は立ち上がってクーラーの温度を上げてお風呂に入ることにした。蛇は変温動物だと聞くが、霊体の彼に果たして気温を感じるのかは分からないので念の為にしたことだった。
私は湯船に浸かりながら、今日起きたことを振り返って目をぎゅっと瞑った。それでもこうしてまえよんさんたちの守護霊や白蛇さんと会話をしたことでだいぶ落ち着きは取り戻したように感じる。
明日、まえよんさんたちに感謝と謝罪を改めて送ることにしようと心に決め、私はお風呂から上がった。