第11章 コハじゃじゃ
「じゃあ俺がカレーを食べさせてもらえばここから出れんのか……?」
「あ、それとも逆にする? 俺はどっちでもいいよ」
とコハロンにスプーンを渡そうとするじゃじゃさん。コハロンは遠慮した。
「いや、ここは俺が食べさせられる側がいいかも」
「なんだよ。俺に食べさせるのは嫌だって言うのか?」
「いやいやいや、そうじゃなくて」それからふと、カレーを見つめながらコハロンが言う。「それ、チョコとか入ってないよな……?」
誰かのイタズラならカレーライスに見えるチョコライスかも、とコハロンが疑い始めた。確かコハロンはチョコが苦手だったはずだ。色味はチョコと同じ。置いておくのがカレーライスだったのは間違っていたか。
「じゃあ俺が先に味見しようか? 毒味するから」
手元のカレーライスじゃないかもしれないものに一切の躊躇いがないじゃじゃさん。もしかしてじゃじゃさんは、これがドッキリだということをどこか勘づいているのだろうか。
「いや、ここは俺が食べます」
こういうのは俺がやるもんでしょ、と言わんばかりに。
「じゃあ行くぞ」
「はい」
じゃじゃさんはスプーンを持ち直してコハロンに向けた。コハロンはその口を大きく開けてその時を待った。
「はい、あ〜ん」
「あ〜……ん」
ぱくりと食べたコハロンは、恐る恐る咀嚼する。眉間のシワが寄り始めたかと思いきや、ぱっと目が見開いて声をあげた。
「んまい! こんなカレー初めてだ!」
「ああ、よかったよかった」
コハロンの反応に安堵するじゃじゃさんは笑ってぱくりと自分もカレーライスを食べた。
「これ、美味いですよね?」
「うん、美味い」
「もうちょっといいですか?」
「あ、どうぞどうぞ……って俺が作ったんじゃないけどね」
二人は笑い合い、カレーライスを次々と頬張る。
これはあとでこみちんさんに感謝を伝えないとな。
ドズルはさんだーと一緒に、席を立った。