第10章 まろP
「もしかしてこれ、ドズルさんのドッキリの仕返しかなぁ」
「仕返し?」
「前に、ドズルさんを落とし穴に落とそうとしたことがあるんだよね」
そのまろの発言に、絶対それじゃんとぽんPがため息をついた。それからカレーライスをまろの方に押しやって、これ全部食べて下さいと言った。
「え、俺が全部食べるの?」
「はい」
「あーんしなくていいのか?」
「したくないんで、どうぞ食べて下さい」
「そんな……俺嫌われてる?」
「嫌いとかじゃなくて」
ぽんPの少ない言葉数に、まろは気にする様子なくゲラゲラ笑う。それからスプーンを手に取ったから、このドッキリは失敗になったかも、とドズルは思った。
「最初の一口だけやろうよ。あとは俺が食べるし」
「まぁ……」
「それとも俺が食べたあとのスプーンを使いたい?」
「言い方やめてよ」
あははははっと笑うまろはいつもの調子だ。それからまろがカレーを持ってぽんPに近付いたので、やはりドッキリは成功か? と思われたが。
「はい、口開けて〜」
「あ」
「って食べさせないよ〜!」
ギャハハと笑ってぽんPに食べさせるフリをしてスプーンを遠ざけるまろ。ぽんPはもう口を閉ざした。
「じゃあこうするわ」
「えっ」
ぽんPの逆襲はベットの布団をまろに投げつけるところから始まった。それから至るところにあるグロウベリーの実を引きちぎる。何をするのかと見守っていると、布団から出てきたまろにグロウベリーの実をぶつけて突然のPvPが始まったのだ。
「おいこら待て!」
「あはははっ」
まろとぽんPの立場逆転に誰が予想出来ただろうか。
そうして二人はカレーライスもそっちのけでグロウベリーを投げつけ始めドッキリどころではなくなったので撮影はここで終了。ちなみにグロウベリーPvPの勝利はまろが収めた。うっかりぽんPがグロウベリーに引っ掛かって身動きが取れなくなったところをまろが、胴体めがけて思い切り命中させたからだ。
くれぐれも、食べ物で遊ばないように気をつけよう。