第10章 まろP
「だってほら、裏とかに何か書いてあったり……」
「そんな堂々と脱出のヒントって置いてあるもの……?」
まろの言葉に続いてぽんPの冷静なツッコミが止まらないが、またひっくり返されるのは困るので仕方ないんだ、とドズルは心の中で言い訳をした。
「やっぱりこれヒントだったんだ! てか答え書いてるし!」
まろは紙の裏をぽんPにも見せた。
「あーんしないと出られない部屋……?」
ぽんPの目元からわずかに表情の変化が見られた。これが彼の動揺だろうか。
「あっはは、これ本当にあーんしないといけないのか?」
「無理です」
「そんなっ」
まろは冷ややかなぽんPに、冷たいと言いつつも笑いが止まらない。なんで俺たちなんだと、さっきからずっと笑ってばかりいるのだ。
「寝ます」
とぽんPが言い、寝ている間にこの部屋に連れ出す人用に置いてあったベットで横になる。ぽんPは相変わらず、自分のペースを崩さない。
「こんなところにベット? なんでまた」
まろはケラケラ笑いながら、置いてあるベットを見る。ベットは二つ置いてあるので、まろは交互にベットを見つめた。
「もしかしてそういうアレのためにあるのか?」
「え、やめてよ」
まろの発言に何か不穏さを抱いたぽんPが体を起こしてそう突っ込む。まろはまた腹から笑った。
「あははっ、冗談、冗談だよ」
だが、そうしているだけでは脱出口は開かない。ぽんPが未だにベットから動かないので、活発的なまろが鉄の扉に向かって大声を出した。
「お〜い、誰か〜! いませんか〜?」
しかし部屋の外には誰もいない。周辺は人避け対策バッチリなので、ドズルとさんだー以外はこの部屋に来ることはないのだ。
「誰か何かに恨まれることしました?」
このままではラチが明かないと思ったのか、ぽんPがまろにそう質問をした。まろは振り返り、そんなことは、と口篭らせてそういえば、とこう話した。