第8章 雨米
「う〜ん……」
「あ、起きた起きた」
次のターゲットはこの二人である。
「え、雨栗? なんでここに……」状況が読めない米将軍こと米ショーは体を起こす。「えっ、ここどこ?!」
「はは……それがさ、私も分かんないんだよねぇ」
と雨栗が答える。二人は眠らせてからここに閉じ込めたパターンである。
「そう言って、本当は雨栗が仕掛けた部屋とかじゃないのかよ?」
「ほんとほんと、何も知らないんだって」
米ショーに対し、何事も笑顔な雨栗から一見焦っている様子は伺えない。というか、この頭の回る二人を連れ込むのも相当苦労したのだ。特に雨栗は装備をほとんど使っていないようなので、(MODで睡眠ポーションを組み込んだ)エンチャント瓶で修繕を、と誘い込めなかったし。
「米ショーはさ、ここに来る前のことは覚えてる?」
と雨栗が質問をする。それに対し米ショーはえっと、と考えるが、最終的にはよく分からないな、という返答。はっきり覚えているのもややこしくなりそうなので、一時的に記憶が曖昧になるデバフもMODでかけてあるのだ。
「とりあえず、ここから出る方法探さないといけないんじゃね?」
と米ショーが言うと、それがさ、と先に目覚めていた雨栗がテーブルの方へ振り向いた。
「ここに怪しいものがあるんだよね」
「え、怪しいもの……?」テーブルの上には、一皿のカレーライス。「なんでこんなところにカレーがあるんだよ……?」
賢い彼らならすぐに気付くのかもしれない。ドズルとさんだーが、二人の様子を見守っていると、やはり、雨栗が先にあのヒントを見つけた。
「米ショー……アレ、見てよ」
「え、何?」
○○しないと出られない部屋、と書かれた文字が旗に綴られた装飾。雨栗はクスクスと笑い、米ショーはあからさまにため息をついた。
「なんで雨栗とこんな部屋に閉じ込められてるんだよ……」
米ショーがボヤいた。