第7章 カズまぐ
その時、ピーピーと音が鳴り、電子レンジがカレーライスを温め終えたことを知らせる。まぐさんはとりあえず、電子レンジからカレーライスを取り出した。
丁度よくホクホクに温められたカレーライス。先に椅子に座ったのはカズさんだった。
「じゃあ食べますか」
「食べるの?」
「だって求められてるんでしょ?」
「はははっ、違いない違いない」
そんな気楽な会話をしながらまぐさんも座り、服を整えた。何も言わずにスプーンを手に取ったところ、カズさんが食べさせる側らしい。
「いやぁ、懐かしいなぁ。子どもによくやったよ」
と言いながらカレーライスをスプーンで掬うカズさん。いいパパなんだなぁとまぐさんとの和やかな会話が広がり、早速本題へ。
「じゃあ行くぞ、まぐにぃ」
「はいはい、いつでもどうぞ」
「口開けて〜」
「あ〜……む」
なんの躊躇いもなく難なく「あーん」に成功した二人。それどころかぱっと目を見開いたまぐさんが、口元を手で隠しながら感想を述べる。
「このカレー美味い!」
この言葉に、カズさんは黙っていなかった。
「オラも食べたい!」
閉じ込められた部屋をピンチとも思っていなかっただろうカズさんは、鉄の扉が開いたのもそっちのけで食欲を優先した。カズさんは口を大きく開けた。
「入れますよ〜」
まぐさんもまぐさんで、当然かのようにスプーンでカレーライスを掬い、カズさんの口の中へ運んだ。
カズさんの目も輝いた。
「美味いじゃないか、このカレー!」それからよく味わってカズさんは言葉を続ける。「これ、こみちんのカレーじゃないか? 食べたことあるぞ!」
「やっぱりそう思うよね? 食べたことあるなぁと思ってたんだよね」
そうしていつまでもカレーライスの食べあいっこを始めるので、ラチが明かないと判断したドズルは席を立って二人にネタばらしをしに行った。
「お二人とも、もう開いてるんで出てきて下さ〜い」
「あれ、ドズル、こんなところで何してるん?」
「もしかしてこれ、ドズルさんの仕業?」
その後どうなったかは、語るまでもないだろう。