第6章 きおたい
「あ! ここになんかある!」
「えっ」
きおきおはカレーライスの皿の下に置いた紙に気が付いたのだ。きおきおはその紙を引っ張り出した。
「ほら、ここにヒントが書いてあるんだよ!」ときおきおが紙を裏返した。「何なに……あーんしないと出られない部屋……?」
「は?」
たいたいの眉間に一瞬シワが寄った。
しかしそれには気付かなかったきおきおが、嬉しそうに話を続けた。
「ほら、そうと分かったなら早くやろうぜ、たいたい! ほら、口開けて! あーん」
「お前はなんで少しも躊躇わないんだよ……」
明るいきおきおと冷静なたいたいは誰がどう見ても正反対な二人だったが、ドズルはきっとやってくれると信じながら、さんだーと共に二人の行く末をカメラ越しから見守った。
「どうした、たいたい。やらないのか?」
「やるやらないの話じゃないだろ……で、俺が口開ける側なのか?」
「じゃあ俺が食べようか?」
「ああ、どっちも同じでしょ……」それから少し項垂れたあと、たいたいは覚悟を決めたように顔を上げた。「分かった分かった、やればいいんでしょ、やれば!」
「はははははっ、じゃあ行くぞ、たいたい!」
「ああ、どーぞ……」
いつまでも調子の狂わないきおきおに、たいたいは半ば諦めで口を開けた。きおきおはニヤニヤしながら、何やらごちゃごちゃ言いつつもやっと、たいたいの口にカレーライスを放り込んだ。
「どおだ? 美味いか?」
「ん……なんでお前がそのセリフ言うんだよ……」
「そりゃあ、誰かに食べさせてもらったらより美味いって言うじゃん?」
「まぁね、それは分かるけど……」
ガチャン!
会話を遮るように開く鉄の扉。きおきおはまた、ノイキャンの笑い声をあげて喜んだ。
「開いた! 開いたぞ、たいたい!」
「ああ、そうだな」たいたいは息をついた。「あ〜、やっと変な部屋から解放される〜」
「それでよ、カレーは美味かったのか?」
「それまだ聞く?」
そんないつもの会話をしながら二人は部屋を出て行ったので、ドズルはネタばらしをしに席を立った。
どこにいても二人は仲良しな幼なじみなんだなぁと、ドズルは思った。