第5章 おらメス
「はっはっはっ、簡単じゃん!」メッスは楽しげに笑った。「早く食っちまおう、ほら、おらふくん」
「は〜い」おらふくんが先にカレーライスを頬張った。「ん、これ美味いですよ、メッスさん!」
「ほんとか!」
俺も、とおらふくんからスプーンを受け取ったメッスがカレーライスを掬って食べる。これは美味いな、そうですよね! と二人はなんとも平和な時間を過ごしながら、あっという間に残り一口まで食べ進めた。
これはドッキリ失敗だな、とドズルが落胆していた矢先、メッスが思わぬことを言い出した。
「最後の一口はおらふくんが食べていいよ」
メッスはおらふくんがあまりにも美味しそうに食べるので最後の一口を譲ろうとしていた。おらふくんは分かりやすく目を輝かせた。
「いいんですか!」
おらふくんは食べるのが好きだ。それはメッスにも伝わったのだろう。メッスはますます笑って、早くしないと俺が食べるぞと、一口分のカレーライスをスプーンで掬っておらふくんに差し出した。
この場面を見て、監視役だった二人が騒がない訳がなかった。
「ほら、口開けて〜」
メッスがおらふくんにそう言う。
「はい!」
素直なおらふくんはここぞとばかりに大きな口を開けた。
「俺が簡単にあげると思うか?」
「あ、ちょっとメッスさん、意地悪しないで下さいよ」
「はっはっはっ」
なんてちょっとじゃれ合いながら。
「あむっ」
メッスが差し出したカレーライスを、おらふくんがぱくりと食べたのだ。
それと同時に回路が反応してガチャリと開いた鉄の扉を見て、おらふくんとメッスは嬉しそうに喜んだ。
「もぐもぐ……あ、開きましたよ、メッスさん!」
「はははっ、そうだな! やっぱ交代しながらカレー食えばよかったんだな!」
おらふくんとメッスは口々にそう言ったが、本当の答えをしっかりと伝えなくては。
そうして二人は、ヒントも見ずにたまたま偶然回答を出した奇跡のペアとなったのである。