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○○しないと出られない部屋[atcr]

第5章 おらメス


「分かんないフリはやめろ、おらふくん」
「ええ、だって本当に分からないんやもん」
 メッスとおらふくんのこんなやり取りも面白いな、とドズルが密かに思っている内に、会話はどんどんと進んだ。
「この前ぼんさんから聞いたぞ」
 意外な名前の登場に、おらふくんもドズルさんもつい前のめりに耳を傾ける。メッスはこう話を続けた。
「ベットの下にエロ本隠してるんだろ」
「ええ、隠してないですよ!」
 あははっ、と笑いながらも否定はしっかりするおらふくん。ドズルもドズルで、思わなかった回答に、僕は何を期待していたんだろうと肩を落とす。
「じゃあ本棚の後ろか? それとも冷蔵庫の裏か!」
「あはは、だからないですって〜」
 それ本当にぼんさんが言ったんですか、と返すおらふくんにメッスは嘘っぽいことをつらつら述べたが、ドズルは内心、まぁぼんさんならそういうこと言いそうだなと思ってはいた。本当かどうかは置いておいて。
「あ、見て下さい、メッスさん!」
 メッスからのしょうもない質問から逃げるように逸らしたおらふくんの目に、とうとうテーブルの上にあるカレーライスが映ったようだ。
「そんな話を逸らして……え、こんなところにカレー……?」
 こんな部屋に一皿のカレーライス。ようやくこの不審さにメッスも気付いたみたいだった。
「なんか怪しくないです? ○○しないと出られない部屋にカレーライスなんて」
 とおらふくんが問えば、そうだなとメッスも真面目な顔つきになる。といっても、顔すらほとんど包帯だらけのメッスに、表情は分かりづらいのだが。
「もしかして、カレー食べ終わらないと出られない部屋か?」
 とメッスは言うが、おらふくんは疑心暗鬼だった。
「だとしたら、なんでスプーンが一個しかないんやろ?」
 果たして、この意味を二人は気付くのだろうか。
「分かった、交代しながら食えばいいんだ」
 とメッスが言った。違うと言いたいところだが、ここでネタばらしをする訳にはいかないと、カメラを通して二人を見守るドズルはグッと気持ちを抑える。
「じゃあ、この部屋は、交代しながらカレーを食べないと出られない部屋……?」
 随分長いタイトルの部屋になってしまったが、おらふくんならあり得そうな発想力だ。おらふくんの柔軟さは、時にドズルの予想を遥かに越えていく。
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