第4章 おんルザ
「あ」
ルザクの片目が、カメラを見つめている。まさか、隠しカメラがバレたのではとドズルは思ったが、まさにその通りだった。
「何か見つけた?」
「カメラが天井にあるのは見つけた」
おんりーの質問に、ルザクがそう答える。次にはカメラを取り外そうとしたものだからドズルもさんだーも慌てた。
「取れないみたいだ」
ルザクは諦め、カメラから離れる。
おんりーもちらりとカメラを見てグロウベリーから下りた。どうしようか、と意見を求めるルザクに、おんりーはしばらく考えた後、もしかして、と話し出す。
「これ、もしかしたら撮影してるのかも」
さすがのおんりーと言うべきか。ぼんさんとMENにはバレるとは思っていたが、おんりーも察しがいいので気付かれる可能性は大いにあった。
「撮影してるんだ」
何に対しても肯定的なルザクは、慌てる様子もないまま言葉を繰り返す。きっとルザクも、撮影されていることには気にならないのだろうと思われた。
「ということは、ドズルさんか誰かが、俺たちをこの部屋に閉じ込めて何かさせたいのかも」
とおんりーが言う。
ようやく本題に入ってくれたかとドズルは安心したが、確かこの二人は出口を見た時に、その上に貼り出した旗の文字を見ているはずである。二人とも文字が読めないと思えないのだが、なぜそれを実行しないのかドズルは不思議だった。
とルザクが、テーブルの上のカレーライスについておんりーに聞いた。
「そこにあるカレーライスは何?」
「あ〜、よく分かんないけど、あるんだよね」
ルザクの質問に首を傾げるばかりのおんりー。ルザクはすぐに、皿の下にある紙に気が付いた。
「あ、これって脱出の鍵なんじゃ」
「うん、そうだと思う」
実はおんりー、ルザクが目覚める前にその紙にはすでに気が付いていた。気が付いていたのにこのことをルザクに伝えなかった辺り、やはりおんりーは「あーん」をしたくないんだろうかとドズルは思案する。
「あーんしないと出られない部屋って書いてある」
「そうなんだよね」
と話すルザクもおんりーも一見冷静そうだが、二人ともこのふざけたものにはっちゃけるような性格ではない。ルザクもおんりーも紙を見つめる。
「じゃあやる?」
と言ったのはルザクだった。別に「あーん」することなんて他愛もないというかのように。