第4章 おんルザ
この二人を連れ出すにはかなり頭を使わなくてはいけなかった。だからドズルたちは、二人にエンチャント瓶と称した睡眠ポーションをMODで組み込んだものを飲ませて眠りについたところをさんだーが作った快適な部屋に連れ込んだ、というところから話が始まる。
「う〜ん……」
ルザクがベットから体を起こす。そこにはすでに目が覚めてそばにいたおんりーが声を掛けた。
「あ、やっと起きた。おはよ〜」
「ん、おはよう……」
ルザクは意外にも、驚いた表情も見せずにゆっくりとベットから下りた。
それからルザクは辺りを見回して、ここは? とおんりーに訊ねる。おんりーはこう答えた。
「分かんない。気付いたらここにいた」そしておんりーは冷静そうに出口を指す。「出口はあそこだけみたい。窓もないし、ブロックも壊せないから、ここはアドベンチャーモードみたい」
「そうなのか」
おんりーの説明にルザクが全てを察したかのように相槌を打つ。そしてルザクも、先程のおんりーと同じように部屋をぐるりと見回した。
「本棚とテーブルと椅子だけか」
「そう、俺も見たんだけどね」
こうして二人が淡々と会話しているだけで、頭の中ではどれくらいの思考回路になっているんだろう、とドズルは画面越しで少しハラハラした。だがこの部屋は、さんだーと一緒に作った完璧な部屋のはずだ。いくら二人でも、他の方法で部屋から脱出する方法はないと思いたいが。
「う〜ん、天井も何もないみたい」
えっ、とドズルは息を飲んだ。おんりーがいつの間にか、天井からぶら下げたグロウベリーをよじ登って探索をしていたみたいだ。
そうしてドズルがどこかで冷や汗をかいているとはつゆ知らず、今度はルザクがグロウベリーに登り始めていた。ルザクはおんりーと一緒に天井を調べている。
大丈夫だよね? とドズルが横にいるさんだーを見やると、大丈夫なはずだよ、と答えるものの不安そうなパンダの顔がちらついた。ドズルは二人を見守るカメラに視線を戻してまた驚くことになる。