第3章 ぼんMEN
「カレーライスの下に?」
ぼんさんもMENと一緒にその紙を見る。紙はカレーライスの皿の下に置いてあったものだ。
「なんか書いてあるじゃん」
とぼんさんが言う。えーっとと、MENが紙の文章を読み始めた。
「あーんしないと出られない部屋にようこそ……?」
読み上げた瞬間、ぼんさんもMENもまさしく凍りついたかのように動きを止めたのは見物だった。この様子をどこかで見守っているドズルがケラケラと笑っているとはつゆ知らず、二人は同時に声をあげたのだ。
「「はぁっ?!?!?!」」
次には、なんで俺たちでやらないといけないんだとか騒ぎ始め、一悶着、二悶着した。そして最終的には、これは明らかに「ドズルの仕業だ」と二人は口々に言い始め、これは恐らく撮影されているのだろうということまでは言い当てて来たのだが、肝心の脱出方法をするのにはかなり時間がかかった。
そうして一時間くらい悪態をついたり茶化し合ったりした後、ぼんさんとMENはこれから死ぬ覚悟をした兵士みたいな顔をして、カレーライスを間に椅子に座っていた。
「……どうします、ぼんさん」
「やるしかねーだろ、こんなもん……」
二人とも声からして元気がなかった。
さすがにやり過ぎだったかな、とドズルも思いはしたが、別に死ぬ訳じゃないしと半々の気持ちで二人を画面越しで見守っていると、ぼんさんがスプーンでカレーライスを掬い、MENが口を開いた。この下りは先程まで何度もやっており、どちらが食べる側になるかと散々言い争いながら、結局はジャンケンをして決まったことだった。
「行くぞ、MEN」
腹を括ったぼんさんの声は低い。
「早く終わらせてさっさとここを出ましょう」
中途半端のゲームがあるんで、とMENは付け足して。
「ほら、MENもっと口開けて」
「分かってるって……」
「はい、口開けて〜……あー」
「あー……ん」
食べた!
と同時に仕組んでいたレッドストーン回路が始動してガチャン! と勢いよく鉄の扉が開いた。
「おお、MEN、開いたぞ!」
「んんっ、開きましたねぇ!」
二人はハイタッチならぬ殴り合いを軽くし(?)意気揚々と部屋を出て行った。
さて、ネタばらしをしに行こうか。
ドズルは隣にいるさんだーにハンドサインを出して、席を立った。