第3章 ぼんMEN
ぼんさんとMENは訝しげにカレーライスを見つめる。それからしばらくした後、ぼんさんが言い出した。
「MEN食べてみてよ、カレーライス」
「はぁ?! なんで俺が毒味なんすか!」
ぼんさんの発言に怒りを隠さないMEN。しかしぼんさんはハハハッと楽しそうに笑うばかりだ。
「いや、だってさ、おかしいじゃん? 野郎二人いてカレーライス一皿しかないって、絶対おかしい」
「それはそうっすけど」言い終えて、MENが何かに閃いた。「もしかして、ここから出られるのは一人で、もう一人はこの毒のカレーライスで息絶えろと……?」
「はははっ、そうかもね」
ぼんさんは相変わらずこの調子である。顔に汗が伝うMENとは真反対のぼんさんは、そのままカレーライスのあるテーブル前の椅子に腰を下ろした。そして、そこにあるスプーンを手に取る。
「ちょちょちょ、ちょっと待ってください、ぼんさん?!」
MENはぼんさんを止めた。ぼんさんはきょとんとした様子でMENを見上げる。
「何よ、MEN」
「ほんとにそのカレー、食べるんです?」
「そうだけど?」
「さっきまで俺に食べさせる気満々だったあのぼんさんが?」
と言うMENの言葉に、途端にぼんさんから笑顔が消えた。
「何よ、その言い方。まるで俺がいつも優しくないみたいじゃない」
「だってそうじゃないっすか」
「俺は優しいのよ」
そう言ってぼんさんはスプーンをカレーライスの中へ差し込む。MENは慌ててぼんさんの手首を掴んだ。
「ちょっと待って下さいって。ぼんさんが毒でやられるのはいいんですけど、何も分からないまま食べてしまって詰むのだけは嫌っすよ!」
とんでも言い訳をして止めたMENだったが、ぼんさんもそうか、とカレーライスを食べるのをやめた。そうなのだ。あのカレーライスは一人で食べてしまっては解決しないのだ。
「けど他にヒントなんてなくない?」
ぼんさんが再び辺りを探索し始めたが、本棚とグロウベリーで装飾されたその内装の中では、未だヒントを見つけることが出来ずにいた。
「やっぱぼんさんがカレー食うしかないんすかねぇ」なんてMENがボヤいてテーブルへ目を向けた時、やっと気付いたみたいだった。「ちょっと待って下さい、ぼんさん……カレーライスの下に、何か紙がありますよ?」