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あの日見た紫の思い出

第2章 振り返る思い出


 俺の祖父の家は、田んぼに囲まれていて裏手は山という、よくある田舎の村にあった。
 親はよく学校が夏休みに入ると、数時間かけてその祖父の家に連れて行ってくれて、俺はそこで何泊かして帰るというのが毎年恒例行事みたいなものだった。
 そうだそうだ。祖父の家は茅葺き屋根で出来ていて、確かどこかの年では俺も一緒になって屋根の葺き替え作業を手伝ったこともあったっけ。今じゃ全然やり方も覚えていないのだが。
 それが不思議なことに、祖父の苗字が明と書いて「メン」と読むことから、俺は祖父のことを「メンじぃ」と呼んでいた。こんな偶然なことがあるもんだな。さっき撮ったショート動画のMENじぃとは、全く違う存在だが。
「メンじぃ、来たよ〜!」
 子どもの頃の俺が、メンじぃの家の開けっ放しの玄関からそう呼んだ気がした。
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