第15章 再会 × 別れ
手を伸ばせば届きそうなくらいイルミに近づいていた。サクラの声は届いていたはずなのに助けにきてくれることも振り向くこともしなかったイルミ。
(もうダメなのかな…。すぐにイルミのところに行けばよかった。なんて今更後悔しても遅いか…自業自得だよね)
サクラは諦めようとして、ハッとした。
(私のバカ!何諦めようとしてるんだ!自分でイルミに話すって、気持ち伝えるって決めたんじゃん!!)
『クロロ、ククルーマウンテンまでどうやって行けばいいの?』
「お前…行くのか」
『ね、教えて?』
「何故だ?あいつはお前を見捨てたんだぞ。」
”見捨てた”という言葉にサクラは目を伏せる。
『…それでも私はイルミにもう一度会いたいの。そのためにこの世界に戻ってきたんだもん。』
「サクラ…」
『お願い、クロロ。』
今にも泣きそうなサクラの顔を見て、クロロは抱き締めたい衝動に駆られる。
「…ならば俺も一緒に『ううん、私一人で行かせて?』……そうか。」
『ごめんなさい。』
「いや…」
行き方を教えずに無理矢理ついて行くこともできたがサクラの意志が揺るがないのは一目瞭然。無理強いをしてしまえば信頼を失うと考えたクロロは潔く引いた。
しかしこれは諦めたのではなく、自分にもまだ機会は巡ってくるという確信があったからだった。
クロロが書き記したククルーマウンテンまでの行き方のメモを受け取ると、
『ありがとう、クロロ。また会えるかな?』
「ああ、会えるよ。」
『…そっか!そうだよね!じゃあ行ってくる!』
「あいつに嫌なことをされたらいつでも俺のところに来い。」
『ふふ、わかった、ありがとう!』
にっこりと笑いながら大きく手を振り、サクラはクロロと別れた。
本当はクロロも一緒にきてもらいたかった。
”俺も一緒に”
この言葉と優しさに弱い自分が顔を出したけれど、拒否をする自分の声で無理矢理かき消した。
1人で行くのはすごく怖い。
イルミに拒否されるんじゃないかって。
もしかしたら何も言えずに殺されるかもしれない。
でも、まだイルミの優しさを信じていたい自分がいる。なんて甘いんだろう。
だけど、諦めたくない。しつこい女でごめんね。
イルミ、今から行くね。
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