第15章 再会 × 別れ
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(どうしよう!私…)
「サクラ、今すぐ答えて。何を、してたの?」
今、ずっと会いたくて仕方なかったイルミが目の前にいる。会えばイルミも喜んでくれると思っていた。
でも、
想像してたような再会とはとてつもなくかけ離れたものになった。
遡ること数時間前…
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クロロに送ってもらう途中で大きな街に通り掛った二人。イルミのところに行く前に必要なものを買い揃えようと買い物を申し出たサクラ。
クロロは快く承諾してくれ、手を繋いだまま街中をぶらぶらしていた。様々な店が建ち並び、どの店に入ろうかと目移りしていたところで、
「サクラ?」
声をかけられた。振り向くとそこにはイルミが立っていた。
『あ…』
「サクラ!」
イルミが駆け寄ろうとしたところでクロロの存在に気付いた。
そして、手を繋いでいることも。
サクラが自分以外の男に気を許して手を繋いでいる。
自分以外の男に笑顔を向けている。
知らない男が自分のものに触れている。
気付けば、イルミの中には抑え切れないほどの真っ黒な感情が溢れ出していた。
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そして今に至る。
「サクラが怯えているだろう?落ち着いたらどうだ。」
「…オレはサクラに質問してる。お前は黙ってろ。ていうか関係ないんだからさっさとここから消えて。」
「……(なるほど、こいつがゾルディックか)」
「ほら、サクラ?言い訳があるならちゃんと聞いてあげる。」
『イルミ…』
言葉は優しいのに、目の前のイルミは今までの知っているイルミとは別人のよう。彼が怒っていると誰が見てもわかる程。
それなのにサクラは何も言えずに俯いたまま、恐怖で体を震わせているだけだった。
その様子に苛ついたのか、イルミが語気を強めてもう一度問う。
「サクラ、言いたいことがあるなら早く言え。」
『っ!ごめん、なさい…』
「は?オレは謝れなんて言ってないだろ?何をしていたのか聞いてるんだよ。」
『あ、の…』
イルミの殺気は、念を使えるようになったがために初めて会ったときよりもそれを感じやすくなっていて恐怖ゆえに声が出せなくなっていた。