第15章 再会 × 別れ
シャワーを浴び終えて出掛ける準備を整えたサクラが部屋を出ると、すぐ左に人の気配を感じた。
『…クロロ』
「ああ…準備はできたのか?」
『う、うん。もしかしてずっと待っててくれてた?』
「いや…」
『そ、そっか…』
(え、なにこれ気まずい!何か会話を!!)
その耐え難い空気にあれこれ話題を探すサクラ。
「…ふっ、どうしたサクラ。すごい顔になってるぞ。」
その様子を見たクロロがたまらず笑いを溢す。
(あ、笑った…)
『あはは!そんなすごい顔してた?』
笑ってごまかすサクラを優しく見下ろして、ぽんぽんと頭を撫でた。
「行くか。」
『…うん。』
そのクロロの顔はとても優しいのにどこか寂しそうで、サクラの胸の奥がつきりと痛んだ。
さりげなくサクラの荷物を持って歩き始めるクロロ。
『あっクロロ!荷物重たいからいいよ!』
「重いから俺が持つんだろう?それともそんなにひ弱に見えるか?」
『そんなまさか!』
「ならお前は大人しくこうしてればいい。」
『…っ』
「こうしていないと迷子になりそうだしな。」
『なっならないよ!』
少し前を歩いていたクロロが戻ってサクラの手を取り、また歩き出した。クロロの手は少しひんやりしていて、それが心地いい。
思わずぎゅっと握ってみれば、クロロはサクラを見て優しく微笑んだ。
その笑顔にサクラの胸がまた音を立てた。
(何ときめいてるんだ私!イルミがいるでしょ!)
イケメンに弱い自分にツッコみつつも、クロロの手を離すことはできずそのまま大人しくついていくのだった。