第12章 消失 × 現実
「そのまま眠ってくれれば僕があの世界に連れていってあげる。今度は記憶もそのままね。」
『あ、そういえばどうして私の姿は漫画の中にないの?』
「ああ、それはこっちの世界で混乱がないように、パラレルワールドってわかるかな?そこに転移してるんだ。つまりこの世界に出回っている漫画の内容とはまったく別の世界。だから君が関わっても全く問題はないんだ。」
『そうなんだ、うまく出来てるのね。』
「まぁそこら辺はクロノス様の力だけどね。」
クロノス様がどうとかはよく分からないが、そういうことなら安心してハンターの世界で過ごせそうだとサクラは嬉々とした。
「…なんかわくわくしてない?」
『もちろん!またイルミに会えるんだもん。』
「……」
自分が告白したのが何もなかったかのようにされて面白くないネーロ。少し意地悪をしてやろうと考えた。
「じゃあ準備はいい?」
『うん!おやすみなさいネーロ。』
「おやすみ、いい夢を。」
目を閉じるとあっという間に眠りに落ちた。
黒猫の姿になったネーロはサクラが眠ったことを確認すると、彼女の額に前足を乗せて念じる。
「 ─────── 」
仄かな光を残して、サクラは再びHUNTER × HUNTERの世界へと旅立った。