第12章 消失 × 現実
サクラが消えた。
あんなに苦しそうな顔でオレに助けを求めていたのに
その手を掴むことができなかった
オレから離れないって約束したよね?
試験が終わったら話をしてくれるって約束もした
ねぇ、サクラ
どこに行ったの?
「イルミ◆」
「……」
「イルミ、聞こえてるかい?」
「……」
「イルミ、しっかりしろ◆」
「…!あ、ごめん。何」
何度呼びかけても呆然として反応がない彼に、痺れを切らしたヒソカは少し言葉を強くした。
「…サクラは能力者だったのかい?」
「いや、違う」
彼女はただの一般人だ。自ら姿を消すなんてことは有り得ない。
「そう◆この島には彼女の気配はないね。」
「うん、わかってる」
サクラが姿を消してすぐ、イルミは彼女の気配を探った。しかし、微塵も彼女の気配を感じることはできなかった。
まるで、最初からいなかったかのように。
本人の意思とは別の、何かの力が働いているようだった。
でなければ助けて、なんて…
「サクラを探さなくちゃ」
「…イルミがそんなに焦っているなんて珍しい★」
「うるさいよヒソカ。あいつはオレがいなきゃ何にもできないんだから。今頃どこかで泣いてるかもしれないし」
「…へぇ◆」
イルミが他人のことを想うなんて、とヒソカはどこか楽しそうに目を細めた。
「でもキミにはここでやることがあるんじゃないのかい?」
「それはもちろん済ませる。当たり前だろ」
「サクラ探すのボクも手伝おうか?ボクだって心配だし★」
「…断りたいところだけど、何の手がかりもなさそうだし、しょうがないから、よろしく」
「くっく◆了解★」
サクラ、約束破ったこと絶対に許さないから。
ちゃんと待っててよね。