第10章 ハンター試験③
「次の目的地へは明日の8時到着予定です。こちらから連絡するまで各自自由に時間をお使い下さい。」
一次試験会場の受付にもいたマメみたいな人がそう告げれば、受験生たちは散り散りになった。
(あの人の顔どうなってるのかなぁ?やっぱりかじったらマメなのかな…)
サクラはそんなことをぼんやり考えていると、
ぐいっ
『わぁっ!?』
「サクヤ発見◆」
引っ張られるような感覚のあと、すぐ真横で独特な声が聞こえてきた。
『ヒ、ヒソカ!なんっ…』
(わざと離れたところにいたのに!)
「サクヤがぼーっとしてるからだよ★それより、ボクと話でもしないかい?」
(確かにぼーっとしてたけど!でもヒソカが私のところにきたんじゃなくて私がヒソカのところに移動したような…)
『んーちょっとだけならいいよ。』
「おや、素直だね◆」
『まぁ一次試験の時お世話になったしさ。話すくらいならね。』
「クックッ◆あれからイルミには何も言われなかったかい?」
『言われた!というか喧嘩した!もうイルミってば何考えてるかわかんないから大変だよ!』
「そうだねぇ◆」
人気がない場所に移動してサクラは変装を解くと、堰を切ったように愚痴る。それに同意するように頷くヒソカ。
だが、イルミがサクラに執着していることにヒソカは気付いていた。
その証拠に、あのとき間違いなく自分だけに殺気を向けていた。
明らかな嫉妬だった。
(それにしても◆)
「キミ、変装解いて大丈夫かい?」
『え?ああ、今はヒソカしかいないし、すごく窮屈なんだもん。』
「随分ボクは信用されてるんだねぇ★」
『うーん…信用してるっていうか、どうせ誰にも言わないでしょ?こんなこと。』
「そうだねぇ◆もったいないからね★」
(こんなに美味しそうなコ、イルミは隠してたんだね◆)
(何がもったいないんだろう)
『…ねぇ、ヒソカはもしかしていい人?』
「◆」
サクラの突然の言葉にヒソカは呆気にとられる。
怖がられることはあっても、いい人だと言われたことは一度もない。
「…どうしてそう思うんだい?」