第9章 喧嘩 × 料理
「ねェ、今年は何人くらい残るかな?」
受験生を乗せた飛行機の中で試験官同士のおしゃべり。
「合格者ってこと?」
「そ、なかなかのツブぞろいだと思うのよね」
ブハラはこれからの試験内容次第だと答えた。メンチのような試験官なら一人も残れないと心の中で呟きながら。
「サトツさんどぉ?」
「ふむ、そうですね。ルーキーがいいですね、今年は」
「あ、やっぱり!?」
同じだ、と嬉しそうに話すメンチ。
「あたし294番がいいと思うのよねー、ハゲだけど」
「私は断然99番ですな、彼はいい」
「ブハラは?」
「そうだねー、ルーキーじゃないけど気になったのが、やっぱ44番…かな」
「!」
「メンチも気づいてたと思うけど、」
44番の殺気が気になっていたとブハラは話す。
メンチも、そのせいでピリピリしていたと言う。
「彼は要注意人物です。」
「あ、あと。」
メンチが思い出したように切り出す。
「302番。あの子多分一般人よね。なんでハンター試験に参加してるか知らないけど。ただ…」
「どうしました?」
「あの子の作ったスシがものすごくおいしかったのよ。ほんとはあの子だけ合格にさせたかったくらい。」
「あーあの、家庭的すぎるって言ってたやつ?」
「そ。なんかもうあーなった手前、引っ込みつかなくなってたのもあったから合格にしなかっただけ。もう一度食べたいくらいよ。」
「おや、メンチさんがそこまで仰るとは珍しいですね。」
「うーん…サクヤとか言ってたわね。覚えておこうかしら。」
(あーあ…302番の子、メンチに目つけられちゃって可哀想に)