第7章 ハンター試験①
「準備できた?」
『うん、いいよー』
「…怪しいよ、サクラ」
『なっ!?イルミがやれって言ったんじゃん!』
「そうだけど。そんなに怪しくならなくていいよ」
『………。』
この男は…!
目立つからって言われて(何が目立つのか知らないけど)イルミが持ってきた帽子と黒のサングラスと大きめのマスク。
それを言われるがままに、素直につけただけなのに怪しいよ、だと!?
そりゃ帽子にマスクにサングラスかけたら誰でも怪しくなるよ!小首傾げても知らないんだから!
…知らないんだから。
…くっ、可愛いなもう!イルミ反則!!
「なに百面相してるの、サクラ。もう行くけど」
ああ、可愛い顔してなんて冷たい言葉…!
『はいはい。行きますよ、怪しいけど行きますよ。』
ぶーぶー文句を言ってるサクラを放ってイルミはスタスタと廊下を歩いて行く。
(なんてマイペースなんだ!ばか!)
心の中で悪態ついているのを知ってか知らずか、イルミは無言でサクラに手を伸ばした。
(…イルミってほんとずるいよね。こんなことされたら機嫌直すしかないじゃん)
恨めしそうにイルミを睨むサクラだったが、繋いだ手の温かさに気持ちは和らいでいく。
でもそれが悔しくて、くいっとイルミの手を引いて
『…イルミのばか』
精一杯の抵抗をしてみる。サクラをじっと見下ろすイルミだったが、それが照れ隠しなのはわかっていたようで何も言わずにまたスタスタと歩き出した。もちろん手は繋いだまま。
傍から見れば恋人同士のただのイチャイチャだ。
こっそり見ていたミルキとカルトは同時に深いため息をついていた。