第4章 お手伝い × 王道
翌朝、早くに目が覚めたのか外はまだ薄暗い。
サクラはベッドの上に横になったままこれから自分の身に起きるであろうことを想像していた。
『暗殺の仕事って、アレよね…人を殺すから、アレがいっぱい…』
アレというのは血のこと。サクラは血が苦手だった。
血が少しにじんでるのを見たくらいで、卒倒するほどだ。
(…家に帰りたい!)
イルミにお願いして仕事についていくのは遠慮させて頂こうと思ったのも束の間。その思いも虚しく、彼は私の部屋にきてこう言った。
「サクラ、早速だけど仕事手伝って」
無理ぃぃぃ!!!
…いや、ここはとりあえず話を聞こう。
『手伝う?無理無理!人殺したことないもん!ただの一般人ですから!』
無駄に明るく言うサクラにきょとんとするイルミ。
「殺してなんて言ってないじゃん」
『いや、手伝ってって言ったよね?』
「うん。これ着てパーティに出て」
そうイルミから手渡されたのは黒のイブニングドレス。
明らかに露出が高そうな見た目。
『ぱーてぃって、あの煌びやかで眩しくてごはんがおいしいところ?』
「うん。ごはんがおいしいかは知らないけど。それでサクラには囮になってもらう」
『なにそれ怖いんですけど。』
絶対に嫌!とドレスをつき返す。
こんな露出高いドレス着て囮になれなんて、私じゃ役不足!危険しかない!!
「ふーん」
ずいっとイルミが顔を近づけてサクラの顔を見つめる。
『な、なに!?』
「サクラ、綺麗な顔してるからいいと思ったんだけど」
『き!?』
「ていうか嫌とか言わせないよ。サクラは居候だろ?黙ってオレの言うこと聞きなよ」
顔を近づけたまま急に威圧感が増すイルミ。
『わっ、わかった!わかったからもう少し離れてください!』
「うん、わかればいいよ。はい、早く着替えてね」
再び渡されたドレスをサクラは渋々受け取りながら、さっきイルミから言われた一言を思い出す。
(綺麗とか…。深い意味はないのわかってるけど恥ずかしいやら嬉しいやら…)