第16章 イルミの気持ち ~閑話~
《イルミ、サクラを見つけたよ◆》
いつもくだらない電話をかけてくるヒソカだったけど、今日は違った。いま何よりも一番聞きたい言葉だった。それをくれたのがヒソカっていうのは気に入らないけど。
やっと会える。早く会いたい。
すぐにそう思った。どこに行ってたとか何をしてたとか、どうしてオレの前から消えたの、とか。聞きたいことは山ほどある。
でも、
そんなことよりも早くサクラの顔が見たいんだ。
オレの傍で笑っていてほしい。
サクラ、お前もオレに会いたいって思ってるよね?
大丈夫、すぐに会いに行くよ。
ずっと探してたんだからね。
ね、サクラ?
───────
ヒソカから連絡を受けて、サクラを見つけるのはあっという間だった。
「サクラ?」
見つけた!
「サクラ!」
……!!なんで?
なんで他の男といるの?
なんで手を繋いでいるの?
なんで?
なんで?
お前はオレのものだろ?
なんで他の男の前で笑っているの?
「サクラ、何してるの?」
『……っ!』
サクラは咄嗟に横の男の手を離して距離を取ったけどもう遅い。
「サクラ、今すぐ答えて。何を、してたの?」
どうしたらいい?
自分の中のこの黒いモノをどうやって消し去ればいい?
「ほら、サクラ?言い訳があるならちゃんと聞いてあげる。」
どうして?どうしてそんな顔するの?
あーイライラする。
さっき消えろって言ったのにあの男もまだいるし。なんなの。
「サクラ、言いたいことがあるなら早く言え。」
『っ!ごめん、なさい…』
「は?オレは謝れなんて言ってないだろ?何をしていたのか聞いてるんだよ。」
なんで何も言ってくれないの。
そんな目でオレを見ないでよ。
サクラ…。
.