第5章 戦火【土方歳三編】
原田さんのまさかの言葉に、私と千鶴は目を見開かせてしまう。
「「えっ!?」」
参加するという事は、私たちは新選組の一員として出動しても良いという事なのだろうか。
でも、戦場で私たちのような小娘達が軽い気持ちで参加してもいいのかな。
ふと、私は千鶴へと視線を向ける。
正直言えば、千鶴を戦場に行かせたくない気持ちが大きい。
危険もあれば、最悪人の死体をまた見る事になってしまうのだから。
(それに、私は……血を見たら……)
だけど、お世話になっている新選組の方々のお手伝いはしたいという気持ちもあった。
そうやって悩んでいれば、千鶴が小さく頷く。
「……私も参加したいと思います。参加して、何かのお役に立ちたいと思います」
「千鶴!?参加するってことは……また、また……」
人の死体を見るかもしれない。
それ以上に酷いものを見るかもしれない……そう考えながら唇を震わせていれば、千鶴は明るく笑った。
「平気だよ、千尋。私、皆さんのお役に立ちたいの……あ、でも千尋は無理しなくて大丈夫だよ。血とか……」
血を見たら、私は正常でいられるか分からない。
また、池田屋の時のように気分が悪くなるかもしれないけれど、千鶴一人だけを参加させるのは危ない。
「わ、私も参加したいです。皆さんのお役に立ちたいのはもちろん……千鶴を、危ないところに一人で行かせる訳にはいきませんから」
「千尋……」
すると原田さんは優しい笑みを浮かべて、私と千鶴の言葉に頷いて見せた。
「お前らの気持ち、よくわかったぜ。もし、その時が来たら、お前たちも参加できるように俺も応援してやるよ。だけど、千尋。もし、少しでも無理かもしれないと思ったら無理して参加しようとしなくてもいいんだからな」
「……はい」
原田さんは優しく私の頭を撫でてくれる。
池田屋事件のあと、私が血を見てあの状態になってから原田さんや永倉さんはよく気にかけてくれていた。
その優しさが正直、ただただ嬉しかった……。
ー数日後ー
「失礼します」
「……失礼します」
私と千鶴はお盆に幹部の皆さんの分のお茶を載せて広まへと入った。
「すまねえな。ありがとよ」
「すまねえなあ、千鶴ちゃんに千尋ちゃん。そうやってると、まるで小姓みたいだな」