• テキストサイズ

君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第4章 動乱【土方歳三編】


私たちの目の前には近藤さんが立っていた。
出陣の為に、いつもと違う色の羽織に鉢金を見につけている。

「あ、その…なんだか、じっとしていられなくて」
「なるほどな。君たちの気持ちはよくわかる!討ち入り前で、皆も高揚しているしな」
「はい……」

千鶴の耳から手を離しながら、私は近藤さんの話に相槌をうつ。
確かに討ち入り前で、隊士さんたちは高揚している様子がよく分かる。

「どうかね、君たちも一緒に来るか?」
「え!?」
「い、行っても大丈夫なんですか……?私たちが行っても足手まといになるだけでーー」
「実は、腹をこわして動けない隊士が多くてな、人手がたりんのだ。伝令役になってもらえるとありがたいんだが……。もちろん、君たちに無理はさせん」

近藤さんの言葉に私たちはお互いの顔を見合わせるが、直ぐに頷きあった。

「……伝令、くらいでしたら」
「それぐらいでしたら、できます」

私たちの言葉に近藤さんは満面の笑みを浮かべた。
そして、ふと近藤さんが身にまとっている羽織について疑問があったので尋ねてみる。

「あの……近藤さん。今日はいつもの浅葱色の羽織と違いますけど……」

何時もは目立つ浅葱色の羽織。
だが、今日身につけているのは白色だった。

「これか?暗いところに押し入ったときに、すぐに仲間だとわかるようにな」
「なるほど…」
「白の隊服もあるんですね」

そして、ついに出陣する時刻。
私と千鶴はそれぞれ伝令をする為、千鶴は近藤さんたちと池田屋へと向かい、私は屯所で待機することになった。
池田屋は本命ではないだろうということで、比較的四国店について行くよりは安全なので千鶴はそちらへ向かった。

私が屯所に残った理由は、池田屋からの情報を持ってきた山崎さんが山南さんに伝えて、それを聞いた山南さんが私に四国店までの伝令を頼む為。
何故私が屯所の方での伝令になったかというと、四国店まで走るのに私の方が体力があるからと判断されたのだ。

「さて、池田屋と四国屋はどうなっているでしょうか」

山南さんがそう呟いた時だった。
ふすまが勢いよく開き、忍装束姿の山崎さんが飛び込んでくる。

「山南総長。奴らの会合場所が、池田屋と判明致しました」
「池田屋……四国店じゃなくて……!?」
「ああ、それは困りましたね。新選組は意外と賭け事に弱いのかもしれません」
/ 768ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp