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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第16章 暗闇の音【沖田総司編】


「あ…は、はい!」
「是非、お手伝いさせてください!」

そうして、私と千鶴は松本先生に従って歩き出した。
松本先生は建物内を出ると、境内の方へと向かい、人気のない場所まで歩く。

松本先生に話をしなければ。
そう思ったのは私だけではないようで、千鶴が様子を伺ってから声をかけた。

「あの、松本先生ーー」

千鶴が声をかけた時、近藤さんが姿を見せてから私たちの元にやって来て言葉をかけてきた。

「松本先生、雪村君たち」
「あっ、近藤さん」
「近藤さん、こんにちは」
「ほう、さっそく会えたようだな」
「はい、お陰様で……感謝しとります」
「「え……?」」

近藤さんと松本先生の言葉に、私と千鶴は困惑しながら首を小さく傾げた。
一体、どいうことなのだろうと困惑しながらも、近藤さんと松本先生のお顔を交互に見る。

私たちが目を瞬かせていると、松本先生が私と千鶴の肩に手を置いてきた。

「千鶴君、千尋君……。私は君たちに会うために、ここに来たんだよ。綱道さんの娘さん達がここに身を寄せていると、近藤さんが教えてくれたんだ」
「近藤さんが……」
「そう、だったんですか……」

近藤さんへと視線を向ければ、彼は淡く微笑みながら頷いていた。

「綱道さんと松本先生が懇意にしていたことは、俺も知っていたからな。何か綱道さんの手掛かりになればと思い、松本先生が京に戻って、すぐに連絡を取った」

近藤さんのご好意が、凄く嬉しくてたまらなかった。
彼の気遣いは私たちにとっては、とても有難いもの。

「お二人共、本当にありがとうございます」
「ありがとうございます」

感謝の意を示し、頭を下げる私と千鶴にお二人は優しく微笑んでいた。
話を聞くと、松本先生は私たちが京に来た時に入れ違うように江戸に戻っていらしたと。

私たちの手紙はちゃんと届いていて、読まれていたらしい。
だけど、その後の私たちの消息がつかめずに、会うにも会えない状況だと教えてくれた。

「すれ違いだったとは言え、辛い思いをさせてしまったようだ。君たちがここにいる事情はわかっておるよ。なにか不自由なことはないかね?」
「いいえ、大丈夫です」
「新選組の皆さんには、良くしてもらっていますから」
「そうか、ならよかった」

そして、私と千鶴はお互いの顔を見合わせてから頷いてから松本先生へと向き直る。
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