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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第15章 戦火の行方【沖田総司編】


永倉さんの明るい口調で紡がれる言葉に、少しだけ元気を分けてもらえた気がする。
すると、原田さんは先程までの笑みを消して永倉さんに声をかけた。

「で、新八。そっちはどうだ?何か異常でもあったか?」
「いんや、何も。……けど、やっぱり町人たちの様子が忙しねえな」

確かに、永倉さんの言う通りだ。
先程から歩いて町の様子も見ていたけれど、理由は分からないけれども町の人たちの様子がおかしい。
そわそわしているような、そんな不思議な様子。

「そういえば……、引越しの準備してる人も多かったですよね」
「あ……そういえば、何人かの町の人たちが【もう京には居られない】って言ってました」
「ああ……戦火に巻き込まれる前に、京から避難し始めるってとこか」
「え?……戦火って、どういうことですか?」
「京で、戦でも起きるんですか?」

原田さんの言葉だと、京で戦が起きるから町の人たちは避難しているということになる。
何故、この京で戦が起きるのだろうと思っていれば、永倉さんが【ああ……】と言葉をこぼす。

「そういや、二人にはまだ教えていなかったな。長州の奴らが京に集まってきてんだよ。その関係で、俺らも警戒強化中ってわけだ」
「池田屋の件で長州を怒らせちまったからな。あいつらの仲間から犠牲が出ちまったし、黙ってられないんだろうよ」
「長州藩がこの京で何かを起こそうとしているんでしょうか?」
「さあな……まだはっきりしたことはわからねえ」
「どっちにせよ、俺たちは俺たちの仕事をする。長州の連中が京に来ても追い返すだけさ」

長州藩が仇討ちをしようとしている可能性がある……ということなのかな。
そう思いながら、忙しなく動いている京の町の人たちへと視線を投げた。

戦に巻き込まれたくない。
それは誰しも思っている事だし、戦火に巻き込まれて死にたくないという気持ちも分かる。

「……人は、戦が好きだなあ」

小さく呟きながら、眉間に皺を寄せていれば永倉さんも言葉を呟いていた。

「長州と戦か……。もしかすると近いうちに、上から出動命令が出るかもしれねえな」
「会津藩から出動命令がでるって事ですか?」
「ああ。正式に幕府の一部隊として参加することになるかもな」
「皆さん、池田屋では大活躍でしたからね」
「おう!」
「まあ……そんな機会、滅多にないからな。折角だからお前たちも出てみるか?」
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