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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第14章 動乱の音【沖田総司編】


ー翌朝ー

沖田さんは相変わらずであり、今朝も葱のお味噌汁を出せば綺麗に葱だけを避けていた。

「沖田さん!また葱だけ残して!」
「千尋ちゃん、僕は葱は入れないでって言ってるよね?なんで入れるかな。いい加減にしてよ」
「いい加減にしては私の台詞です!」
「まあた、始まったぞ。総司と千尋の口争い」

何故こうも葱だけは食べてくれないのだろうか。
葱だけじゃない、自分が気に入らない食べ物があったら口にしようとしないのだ。
しかも乗り気じゃなかったら、食べれるものがあっても残してしまう。

どうしてこうも、彼はわがままなのだろう。
そう思いながら沖田さんを見ていれば、周りの幹部の方々は可笑しそうに笑っていた。
すると、沖田さんは何か思いついたように笑う。

(あの笑顔、絶対にろくな事を考えてない·····)

ニヤリと笑う彼の笑顔は、ろくな事を考えていないのがすぐに分かる。

「千尋ちゃん。昨夜の事覚えてる?」
「·····昨夜、ですか?」
「そう。僕のこと【総司お兄さん】って呼んだら、いもうのわがままだからって言うことを聞いてあげるって」
「··········呼びませんからね!?」

この人は、皆さんがいる前で【お兄さん】って呼ばせようとしているのだろうか。
まさかのことに私が目を見開かせていれば、沖田さんは面白くなさそうに口を尖らせていた。

「じゃあ、葱は食べないよ」
「なっ·····!」

怒りが段々と湧き上がっていれば、隣にいる千鶴はハラハラとしながら私と沖田さんを交互に見ている。

「ほら、呼ばないなら僕は葱を残すよ。君が言う、農家さんに失礼な事をしちゃうよ?」
「·····沖田さんっ」
「沖田さんって呼ばれても、食べないよ」

本当に呼ばないと食べてくれなさそうな彼に、私は大きくため息を吐いた。

「総司、お兄さん·····食べてくださいッ」

小さな声で呟けば、沖田さんは満足そうに笑いながら箸を手にした。

「仕方ないなあ。妹のわがままを、お兄さんが聞いてあげるよ」
「·····はい、私のわがままでもう良いです」

その光景を見ていた幹部の方々は、また楽しそうに笑っていた。

「ふむ。千尋君と総司は兄妹のように仲良くなったのだな!」
「近藤さん、それは違うと思うぜ·····」
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