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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第14章 動乱の音【沖田総司編】


「父が、西国の人と……?」
「なんで……京で行方不明になったのに、父が西国の人と一緒に……」

何故、西国の人と一緒にいたのだろうか。
やっぱり、尊皇攘夷派と人達と関わりを持っているのだろうかと色んなことを考えてしまう。
だけど、何故西国の人と共に一緒にいたのか、誰も教えてはくれなかったーー。

日も沈み、夜の帳が下ろさせた時刻。
討ち入りの準備が始まり、皆は慌ただしくしていた。
空気はぴりぴりと張り詰めていて、私と千鶴は隅の方に立っていた。

「幕府の命で京に向かうって言ってたのに……。千尋、父様はなんで西国の人と共にいたのかな」
「……分からない」

二人で沈んだ気分でいると、不意に人の話し声が聞こえてきた。

「動ける隊士が足りていない。近藤さんの隊は十名で動くそうだ」
「俺ら土方さんの隊は二十四人だったか?……隊士の半分が腹痛って、笑えねえよな」

斎藤さんの原田さんの言葉で、そういえば隊士さんの中では食べ物にあったとかで寝込んでいる人が多かったのを思い出す。

近藤さんたちは池田屋に、土方さん達は四国店に向かうらしい。
でも近藤さんたちの隊はとても少ない。

「……そういえば、あいつらは使わないのか?夜の任務だしうってつけだと思うんだが。おまえらが減らしたけど、まだ何人かは残ってるはずだろ?」
「しばらく、実戦から遠さげるらしい。調整に手間取っていると聞いたが。……血に触れるたび、俺たちの指示を聞かずに狂われてはたまらん」

聞いていけない会話だ。
直ぐに私は千鶴の耳を塞いで、これ以上を聞かせないようにした。
聞いてはいけないのもあるが、あの話を聞いて千鶴があの日の血の池を思い出す事を避けたい。

「……奴らも浮かばれねえな。戦うために選んだ道だろうに」
「左之。浮かばれないという表現は、死んだ者に対して使うものだろう」
「ああ、表向きは死んだ事になってるが本当は死んじゃいないしな。むしろ滅多なことじゃあ死なねえし」

原田さん達は私たちがいることに気が付いていないよだ。
でも、今更名乗り出るのも出来ずに、ただ千鶴の耳を塞くだけ。

「……千尋?」

千鶴が私の名前を呼んだ時だった。

「……ん?雪村君たち、こんなところで何をしているのかね?」
「近藤さん……?」
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