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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第14章 動乱の音【沖田総司編】


この人は確か、さっきの男性が抑えてくれた桝屋というお店のところにいた人。

「あの……もしかして桝屋さん、ですか?」
「へえ。そうどす」
「あ…!実は、私人を捜していまして」

桝屋さんに父様の事を尋ねようとした時だ。
店の中から男性が慌てて出てきたて、青ざめた表情で叫ぶ。

「き、喜右衛門さん!このガキ、さっきまで新選組の沖田と一緒に居たぜ!?」
「なっ!?」
「え?」
「新選組だと!?逃げろ!」
「え、あの…私、人を捜してるだけで!」

確かに新選組と行動は共にしていたが、何故ここまで過剰に反応しているのだろうか。
そう思いながらも、慌てて逃げ出そうと店から出て行く人たちを唖然と眺めた。

「……君って本当に運がないよねえ。ある意味こいつらも、僕も、だけど」
「……沖田さん!?」

いつの間にか後ろにいた沖田さんは軽く肩をすくめて、そのまま桝屋へと乗り込んで行く。
そして他の隊士さん達も、沖田さんに続いて桝屋へと乗り込んでいき、私はただその様子を唖然と眺める事しか出来なかった。

「ど、どういうこと……?」



突然の大捕物が終わり、夕日が差し込む時刻。
私と沖田さんを待っていたのは、山南さんの厳しいお説教であった。
先程から私と沖田さんは、山南さんのお説教を正座で聞き続けている状態。

「そんなに怒ることないじゃないですか。僕たちは長州の間者を捕まえてきたわけだし」

あの後、桝屋からは大量の武器が発見された。
事情を知らされずに、私はただ混乱したままで沖田さんに連れられて屯所に戻ったのだ。

「怒ることではない?沖田君は面白いことを言いますね。桝屋喜右衛門と身分を偽っている人間は、長州の間者である古高俊太郎だったーー。我々新選組はその事実を知った上で、彼を泳がせていた。……違いますか?」
「その通りですけど……。でも、捕まえるしかない状況だったんですよ」
「ま、総司の言う通り、ある意味では大手柄だろうな」
「でも古高を泳がせるために頑張ってた、島田君や山崎君に悪いと思わないわけー?」

沖田さんを揶揄うような平助君を制したのは島田さんという、新選組の監察方を務める人だった。

「藤堂君のお気持ちもありがたいですが、我々のことはあまり気にしないでください。自分らも古高に対して手詰まりでしたから、沖田君たちが動いてくれて助かりましたよ」
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