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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第11章 乞い求む【土方歳三編】


島田さんは少し不服そうにしていたけれども、それを飲み込むように沈黙する。
だけどやがて、納得はしていないような表情をしていたけれども土方さんの言葉に頷いた。

「わかりました、副長」

彼がしっかりと頷いたのを見た土方さんは、私の方へと視線を向けてきた。
私はもう、決定に従う以外何も出来ないのだからと小さく頷く。

「……わかりました」

それから、土方さんと相馬君は今来た道を戻って行った。
途中、土方さんとすれ違う時に彼は小さい声で私へと言葉を投げかけた。

「姉の事は任せろ。助けれるようにしてやるから、深く考え込まずに江戸から島田と出ていろ」

彼は私の返事を聞かずに行ってしまった。
一人でたくさんの思い物を背負い込もうとする所は、とても土方さんらしい。
だけど遠ざかる彼の背中は、何となく死に急いでいるようにも見えてしまった。

(どうか、二人が無事に後を追ってきますように……)

そう願いながら、私は島田さんと共に江戸を脱出したのであった。

その後、市川で残留していた幕府軍も合流した私たちは、宇都宮と日光を目指す事となった。
市川に先行していた斎藤さんは、羅刹隊を監督する名目で先に会津へと向かっていた。

近藤さんたちがあの後、どうなってしまったのはすごく気がかりだった。
だけど絶望的な予感しか出来なくて、誰もその話題を口にする事はなかった。
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