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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第9章 修羅【土方歳三編】


「はっ、真正面から口説いて振られんのが怖えからって無理矢理連れ去ろうっつうのか?格好悪いにも程があるぜ、てめえのやり方はよ。それに、お前は千鶴を連れ去るのに失敗したんだってなあ?相馬に邪魔されて」

やっぱり、相馬君が千鶴を守ってくれたんだ。
風間千景が千鶴を諦めてくれたのは良しとして、私はこれからどうするべきなのだろう。
そう思っていれば、土方さんが鋭い目で風間千景を睨みつけていた。

「言っとくが、そいつは人質にゃならねえぞ。そいつを盾に取ったところで、俺たちは何のためらいもなくーーてめえを斬る」
「元より、そんなつもりはない。貴様らごときに、人質など必要ないからな」

風間千景は嘲笑うように言葉をはく。
そんな彼を中心に、土方さんたちは徐々に間合いを詰めていった。

空気が張り詰めている。
辺りは緊張感が立ち込めていて、殺気さえ漂い息苦しささえ感じてしまう。

(私は、どうするべきなんだろう……)

ただ、立ち尽くしているべきじゃない。
それに風間千景は今、私が反撃しないと思っているか攻撃しても軽く交わせれると思って油断しているはず。
なら、その油断を突けばいい。

私は一気に刀を引き抜いて、鞘を投げ捨てると刀を横に振りかざし風間千景へと攻撃をした。
だがやはり、女鬼と男鬼では力の差があり風間千景は容易に私の攻撃を交わした。

「……ふん」
「あっ……!!」

そして、風間千景は私の刀を払い落とすととんでもない力で腕をひねりあげた。

「くっう……あっ!」

痛さに顔が歪んでしまう。
骨を折られてしまうかもしれない、そう思ってしまう程の力。

「夫となる男に刃物を向けるとは……、どうやらこの俺の力を解していないようだな。躾が必要か」
「誰が、あなたの妻になんかなるものですか!!」

そう叫んだ時だ。
いつの間にか風間千景の後ろには、刀を構えた土方さんの姿があった。

「どこを見てやがる!てめえの相手は、俺たちだぜ!」
「ーーむ!?」

風間千景の注意が私に向いている一瞬の隙を、土方さんはすぐ様に地面を蹴ってから間合いを詰めた。
そして、速い突きを風間千景の胸目がかけて放つ。

「ちっ!」

攻撃を交わす為、風間千景は大きく仰け反る姿になった。
風間千景が僅かに私から身体を離した時、私の身体を誰かが力強い腕で引き寄せていた。

「……あっ」
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