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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第7章 混沌【土方歳三編】


「人を動かすという点に関しては、軍略も掃除もさして変わりませぬ」
「……あんた、文句言ってただけだろうが」

武田さんの言葉に、原田さんは呆れたようにしていた。
昨日の掃除では、武田さんは文句を言っているばかりであり掃除はあまりしていない。
ただし、近藤さんや土方さんに伊東さんの姿を見れば掃除を始めていた。

「でも総司は一日休んでたんだろ?ずるいよなー、皆頑張ってる時に」
「しょうがないじゃない。土方さんが過保護なんだから」
「おまえが、変な咳するからだろうが。養生しねえから、いつまでも治らねえんだよ」
「しかし、やはりこうして片付いていると気分が良いものです」
「まあな……見違えたもんだ。これはこれで悪くねえ」

確かに屯所は見違えるほどに綺麗になっている。
大掃除を始める前は、隊士の方々の物で溢れていたり、埃が溜まっていたりと酷かった。

千鶴と私はよく掃除をしていたけれど、屯所の広さもあったり、隊士の方々の物を勝手に動かせなくてちゃんと綺麗には出来ていなかった。
だから、綺麗になった屯所を見て満足な気分になる。

「よし。これからは毎日掃除するか」
「おう、頼んだぜ、平助!」
「なんでオレだけなんだよ!?体力自慢の新八っつぁんが、真っ先に働くべきだろ?」
「平助君、私も手伝うよ」
「うん、私も手伝うよ」
「お、そっか。そんじゃ、明日から三人で頑張ろうな!新八っつぁんなんて放っておいて」

平助君の言葉に、永倉さんは少しだけ慌てたように声をかけてきた。

「おいおい、ちょっと待てって!誰も、やらねえとは言ってねえだろ?」
「お?そこにまだゴミがあるじゃねえか。ちょうどいい、捨ててこい新八」
「いや、だから明日からだろ?なあ、平助!」
「片付けたそばから暴れるな。埃が立つ」

幹部の方々の歓談を聞きながら、ついおかしくて笑っていれば、ふと外に人影が見えてそちらへと視線を向けた。

「……沖田さんと、松本先生?」

二人は外へと出て行き、そのまま姿を消してしまった。
どうしたのだろうと思いながらも、松本先生が一緒にいるなら何か相談もしたいことがあるだろうし、私が余計な詮索をする必要は無い。
そう思いながら、私は歓談が終わると中庭へと掃除をする為に千鶴と共に向かった。
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