第6章 あなたは私の何を知っているの?
ため息を吐いて顔を逸らすしずくを見て、悟は顔を歪めた。
「大事な事だから僕ももう一度言うけど、僕は離婚しない。
それにもししずくと離婚しても、誰とも再婚しない。」
しずくは悟の言葉を聞いて思わず振り返った。
今本家はしずくに離婚して欲しいから、しずくの味方になるだろう。
だけど、もし悟が今の事を公言したら、離婚出来なくなるかもしれない。
「………冗談はやめてよ…。」
本当に自分の思い通りにならなかったら、こうしてすぐ突っかかってくる。
いつまでこんな『面倒な』やり取りを続ける気なのだろう。
きっと悟の気がしずくから離れたら、またすぐにしずくに興味は無くなるだろう。
今は言う事聞かないしずくに、苛々して目が離せないだけだろう。
「……………。」
何故まだ居る……。
「もう出て行ってくれる?」
しずくはため息を吐きながら悟に言った。