第6章 あなたは私の何を知っているの?
「…楽しかったのか?」
「ええ…勿論…。」
「…………。」
しずくがそう言うと悟は黙ってしまった。
どうしたというのだろうか。
何故か部屋を出て行かない悟にしずくは困惑する。
「しずくは僕の顔が好きなんじゃ無いの?」
「はい?」
真面目な顔で悟が聞いてくるから、思わず変な声が出た。
「……何言ってるの…。」
ジトッと悟を見て、右手で頭を抱えた。
「マッチングアプリに僕程のスペックが居るはず無いじゃないか。」
……何故こんなに自分に自信があるんだろう。
確かにチラッと見る悟は滅多にお目にかかれないほどの美貌だ。
そしてそれが自分の夫なのだから嫌になる。
「……大事な事だからちゃんと言うわ…。
まず、私は顔で異性を選ばない。今日みたいに趣味が合ったり、一緒に居て楽しい人を選ぶわ。
あなたが顔で異性を選ぶなら良かったわね。
私より再婚が早そうね。」