第6章 あなたは私の何を知っているの?
しばらく2人の間で沈黙が続いた。
話さないと部屋を出て行きそうも無い悟に折れたのはしずくだった。
「……私の趣味を知ってる?」
そう聞いてきたしずくに悟は右眉を動かした。
「…家で本を読む…。」
普段のしずくの姿を思い浮かべながら悟は言った。
悟が家で見るしずくは、大抵何かしらの本を読んでいるからだ。
その本はカバーがかかっていて、しずくが何の本を読んでいるのか悟は分からなかった。
そんな悟をしずくは横目で見ながら言った。
「私、クラッシック映画が好きなの。」
初めて知ったしずくの趣味だった。
「今日は同じ様にクラッシック映画が好きな人で、今上映している映画を見てきたわ…。
そしてその後食事を一緒にしてその映画の感想を言い合ったりしたわ。」
悟はしずくの言葉を聞いて固まった。
それはまるでデートではないか。