第5章 デートくらい出来ます
自分の思い通りに離婚出来そうなのに、何故泣くのだろう。
しずくの涙の意味は悟には分からない。
こうしてしずくの寝顔を見ていた事はあっただろうか。
そんな事を考えて、悟はしずくの部屋を出た。
このまま抱き締めて朝を迎える気持ちも起きない。
結局は、離婚するしか無さそうだ。
「…何処か行くの?」
週末にしずくが身綺麗にしてリビングに来た時に、悟は聞いた。
「……………。」
悟の質問には答えないで、淡々と出かける準備を進める。
「……出会いアプリって当たり外れ多いよね…。」
しずくが出会いアプリに登録した事は知っている。
その中の男と今日会う事も分かっている。
しずくは悟の言葉に嫌そうな顔をした。
この前の風俗の時から、どうも悟に情報が筒抜けの様だ。