第5章 デートくらい出来ます
「…うん…気持ちいい…。」
ギュッと抱き締めて、悟がキスを返しながら抱かれる。
気持ちよくて涙が出る。
しずくがそう言って悟に抱き付くから、悟の顔を顰めた。
「…しずく…、離婚やめようよ…。」
そう呟いた悟に、しずくは返事をしなかった。
情欲なら自分で満たせるのだから、恋愛したいなんてくだらない事は考えないで。
このまま今まで通り一緒に過ごしたい。
そう思いながら、悟はしずくを抱いた。
行為が終わっても悟はしずくの部屋に居た。
ベットに横になって眠っているしずくに目を細める。
ソッと目隠しを取った。
目隠しが濡れているのが分かって、しずくが涙を流していた事に気がつく。
しずくは取られた目隠しにも気付かずにそのまま浅い息を繰り返していた。
瞑っている瞼も少し赤く腫れている。
行為の最中にずっと泣いていたのだろうか。