第5章 デートくらい出来ます
どんなに視界を塞がられようと、キスをしてくる唇も、聞こえる息も、触られる手も悟なのに。
不思議と視界が見えないだけで、声が出る。
「あっ……悟っ…。」
自分の乳首を舐めている悟の頭を掴んだ。
あの日と違って今日は自分からも悟に触れられる。
「…僕の名前でいいの?」
意地悪く悟は自分の名前を呼んだしずくに聞いた。
ギシッと悟の体が覆い被さって、耳元に悟の顔があるのが分かった。
「抱かれるのは僕でいいのか聞いてるんだ。」
しずくの耳をペロッと舐めながら悟は聞いた。
比べる男も、悟の代わりに思い浮かべる男も居ない。
そんな事知っている癖に。
「……嫌よ……。」
ふいっとしずくは首を振って耳から悟の唇を離した。
そのしずくの仕草を見て、悟は笑った。
「はっ…でも残念だねしずく。
しずくは僕しか知らないもんねぇ。」