第2章 離婚して下さい
初めて顔合わせをした時に、まだ幼さの残るしずくの顔が薄く頬を染めて緊張した様に悟を見ていた。
まだ恋すら知らなそうなしずくが、悟の顔を見て恥ずかしそうに顔を染めている姿は中々悟の興味をそそった。
そして何より他の女達がこぞって悟に好かれようと動く中で、しずくは一切そんな行動は取らなかった。
ただ大人しくそこに居るしずくを見て、悟は思った。
彼女なら自分を煩わす事はしないだろう。
しずくと結婚すれば、この面倒くさい話も終わる。
そして始めた結婚生活は悟の思った通りだった。
しずくは悟が何をしても何も言わない。
愛を求める事もしなければ、従順に従い嫁の義務を果たしている。
しかし、そんなしずくが今まさに悟に抗おうとしている。
「…正直びっくりしたよ、しずくがそんな事を考えて居たなんて。」
ため息を吐いて頭に手を置く悟を見て、しずくはさーっと気持ちが冷めて言った。
何言っているのだろうかこの人はー。