第2章 離婚して下さい
『上手くやっていた?』
悟の言葉にしずくはふっと笑った。
そのしずくの顔を見て、今度は悟の方が眉毛を動かす。
「だってそうだろ?この10年喧嘩もした事無いし、君はこの家で好きに過ごしていたじゃないか。
別にお金に苦労させた事も無いし…僕は女性関係だって潔白だ。」
しずくはどうだか知らないが。
悟はしずくが10年間、この家でどう過ごしてきたかなんて知らなかったし、知る気も無かった。
悟がしずくと結婚したのは『都合』が良かったからだ。
10年前、五条家の当主になった時に、本家は悟に沢山の嫁候補を当てがった。
勿論理由は六眼を持つ悟の子作りの為だ。
色んな女性が毎日毎日悟に会いに来る中で、悟の目に留まったのはしずくだった。
まずはその端麗な容姿が目に入った。