第2章 離婚して下さい
悟は高専の上着を脱ぐとしずくを見た。
明らかに悟に話があるようだ。
悟はため息を吐くとしずくの向かい側に座った。
そのため息の音にしずくの顔が少し歪んだ事には気付かない。
「…何か話があるの?」
用が無ければこうして悟の帰りを待つ事は無いだろう。
姿勢良く座って膝に両手を置いて悟を見ているしずく。
悟はその顔を見ながら疲れた様に体をソファに倒した。
「離婚して下さい。」
静かなリビングにしずくの声がハッキリと響いた。
「へぇ……何で?」
「………………。」
こんな関係の2人だったが、悟はしずくからその言葉が出る事に驚いている様だった。
「何で今さら離婚?僕たちは上手くやってきたじゃ無いか。」
悟の言葉にしずくの片眉が動いた。
何か反論はありそうだ。
悟は本気で理解が出来なかった。