第4章 あなただけは絶対に嫌なんです
「…いや…いい…。」
そう言って悟は高専の上着を脱いだ。
「……………。」
何故ここで上着を脱ぐのだろう。
そう思いながらも、しずくはベットから降りて悟の上着を受け取った。
「今月の夫婦の務めを果たそうか。」
そう言って目隠しを取った悟の顔を目を細めて見た。
(ああ…、もうそんな時期か。)
月に一度だけの夫婦の時間。
今さら無駄な事をと思いながら、しずくは目を伏せた。
「…愛人が出来たって、夫婦生活は続けるんでしょ?」
確かにそう言う事になる。
悟がどんどん服を脱ぐので、しずくもまた同じ様に服を脱いだ。
いつもお互い勝手に服を脱ぎ、ベットに入る。
変わらないいつもの光景だった。
この前過ごした夜の様に、その場に情欲も何も感じない。
ただ服を脱いだしずくを抱く。
それだけの行為だ。