第2章 離婚して下さい
悟は呪術師の仕事を終えて家に帰ってきた。
彼が帰る家は、結婚と同時に移り住んだ、この2LDKのマンションだ。
大きい部屋が2個あり、共有スペースのリビングもまた、2人で過ごすには広すぎる。
悟はリビングのドアを開けて一瞬固まった。
広いソファにしずくが居たからだ。
何故しずくが居ることに困惑したのか。
それはこの共有スペースにしずくが悟が帰る時間に居る事がひどく珍しいからだ。
「……ただいま……。」
この言葉をしずくにかけたのもいつぶりだろうか。
「…おかえりなさい…。」
しずくは整った綺麗な顔を上げて悟を見上げた。
彼女と目が合うのはいつぶりだか、もう覚えてもいない。