第4章 あなただけは絶対に嫌なんです
「あんた離婚されるんだって?マジでウケるんだけどっ!」
「………………。」
そう言って本当に面白そうに笑っているのは硝子だった。
何も面白い事はない悟は、黙って硝子の前に座って、彼女が笑い終わるのを待っていた。
「はーっ…ウケるっ、あんた結婚したての頃私に何て言ったか覚えてる?」
笑いながら硝子は昔話を始めた。
10年前、3人だった同級生が2人だけになった後。
急に五条悟が結婚すると言い出した。
硝子はあまりの衝撃に加えていたタバコを落とした。
悟が地面に落ちる前にタバコをキャッチして、硝子の口の中にタバコを戻した。
それでやっと止まっていた硝子の時間は動いた。
「……あんたが誰かを好きになるなんて思わなかったよ…。」
夏油傑が呪詛師になって、更に人と線を引いた様に見えていた。
そんな友人にめでたい話があるなら、素直に祝ってあげたい。
本当は嫁に全力で逃げろと伝えたいが。