第4章 あなただけは絶対に嫌なんです
しずくは大きくため息を吐くと、だんだん怒りが込み上げてきた。
目隠しをされているからと言って、本当に分からないとでも思っているのだろうか。
しずくは写メで連打された当たりからすでに悟を疑っていた。
あんなゲスな行動をするのは悟位しか思い付かない。
悟が邪魔をしてくるとは思っていたが、自ら抱きに来るとは思わなかった。
(……それにしても……。)
思い切り抱かれたな…。
目隠しをしたってその手が誰なのか、耳元で聞こえる吐息が誰の声なのか分からないはずないのに。
(…自分だったら分からないだろうから、考えついた事なんだろうな…。)
きっと悟なら気が付かないのかもしれない。
暗闇の中で触れた肌が、10年間触れていた嫁だとしても。
腰を動かすと、ぐっしょり濡れた下半身とシーツに不快感を覚えた。
今さらこんな風に抱いてどうしようと言うのだろうか。