第15章 最終章
最後は力無く言った悟に、しずくは顔を上げた。
本当に辛そうな悟と目が合う。
「…私が居ないから、やつれちゃったの?」
しずくの言葉に、悟はスリッと自分の頬を触った。
「……睡眠時間は変わってない……食欲はちょっと無くなった……。
しずくが家に居ないから……。」
正直、ここまで悟に影響するとは思わなかった。
少し可哀想になったが、まだ聞きたい言葉は出てこなかった。
「私が居なかったら、どうしてそんなになるの?」
もう気付いて欲しい。
私はあなたの何者なのか。
あなたの言葉でハッキリ伝えて。
悟が顔を上げてしずくを見た。
目が合った悟を見て、その目がとても綺麗で、何度でもその顔に恋をしそうだと思った。
「僕はしずくが大切なんだ……世界一…。」
情から大切に変わった様だ。
それでも好きと言う言葉は出てがなかった。