第15章 最終章
今日は目隠しをして現れなかった。
悟の表情が、あの時より分かり、しずくは目を細めた。
「……元気そうだね……。」
「私?見ての通りよ?」
悟の目に見えるしずくは、とても病人の様に見えなかった。
その姿に、悟はグッと拳を握った。
しずくが自分との離婚で悲しんでいると思っていた。
でも、現実は違っていて、目の前のしずくはとても明るい顔をしている。
……僕と離婚したのに……。
その気持ちが、拳に力を入れさせる。
「……しずくが病院に行ったって…。」
相変わらず、しずくの行動は監視している様だ。
そして勿論しずくはそんな事を熟知している。
「……まだあなたの保険証使えたんだけど、離婚はどうなってるの?」
しずくはニッコリ笑って、ワザと意地悪く言った。
悟が離婚届を出していないのは知っていた。